直近の世界パラ水泳選手権大会等から見る
世界の強豪国と日本の状況

 2016年以降は、①ドーピング不正によるロシアの国際大会からの排除 ②メキシコ地震のため延期開催の2017年世界パラ水泳選手権大会は、日本を含む複数国による不参加 ③2018年からの新クラス分けルール適用による国際クラス分け見直しの影響(有力選手のクラス変動含む)といった状況があり、日本の国際競技力を掴むことは難しかった。

 ようやく2019年シーズンには、ロシアが国際大会に復帰し、9月に開催されたロンドン世界パラ水泳選手権大会では東京2020パラリンピック前年に見合う大規模(73か国637選手参加)でハイレベルな大会となり、最新の世界勢力図を掴むことができた。この大会では、イギリス、ウクライナ、中国、アメリカといった常連国 に加え、ロシアの健在ぶりと何よりもイタリアの飛躍的な成長が見られた大会であった。

 2012~2019年に日本が参加した主要5大会(パラリンピック2大会と世界パラ水泳選手権3大会) における日本の成績は、(金)メダルランキングではやや変動があるが平均17.8位、メダル総数ランキングでは14.4位である(表1)。2016リオデジャネイロパラリンピックでは成績が振るわなかったが、直近の2019年ロンドン世界パラ水泳選手権大会では過去5大会最高順位である。この好成績は、知的障害クラス選手の貢献(金メダル2個、銅メダル1個)度も大きい。

表 1 過去5大会(2012-2019)における日本の成績
① メダルランキング
日本参加の主要5大会
(パラリンピック、世界選手権)
金メダル
ランキング
メダル総数
ランキング
2012ロンドンパラリンピック 17位 15位
2013モントリオール世界選手権 16位 15位
2015グラスゴー世界選手権 16位 17位
2016リオデジャネイロパラリンピック 27位 15位
2019ロンドン世界選手権 13位 10位
5大会平均 17.8位 14.4位

オーストラリアは金メダルが少なく(金)メダルランキングは17位。ただ、メダル総数では23個(金2,銀7,銅14)で世界7位。
パラリンピック(2012, 2016)、世界選手権(2013, 2015, 2019)の5大会を対象とした。2017世界選手権は日本を含む複数国が不参加のため対象から除いている。

表 2 過去5大会における国別メダル数比較(2012~2019)

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 メダル獲得数では、過去主要5大会平均で金メダル2個、メダル総数平均は9個であった。直近2019年世界パラ水泳選手権大会では、金メダル3個を含む14個のメダルを獲得し、これは過去5大会の最高の成績であった(表3)

表 3 過去5大会(2012~2019)における日本の成績
② 獲得メダル数
日本参加の主要5大会
(パラリンピック、世界選手権)
金メダル
ランキング
メダル総数
ランキング
2012ロンドンパラリンピック 2個 8個
2013モントリオール世界選手権 3個 9個
2015グラスゴー世界選手権 2個 7個
2016リオデジャネイロパラリンピック 7個
2019ロンドン世界選手権 3個 14個
5大会平均 2個 9個

表 4 過去5大会(2012-2019)における日本の成績
③ メダル・入賞・参加種目数

【東京パラリンピックMQS突破選手】

 東京パラリンピック最低出場資格基準(MQS)突破者より日本選手を男女別に抽出すると、MQS突破者は男子20名・女子18、うち3位以内メダルターゲットアスリート(MTA)が男子5名、女子1名、8位以内のメダルポテンシャルアスリート(MPA)が男子4名、女子5名である(表5)。

表 5 東京MQS突破選手状況 (2020.8.17現在)
MQS突破者 うちMTA 1~3位 うちMPA 4~8位 うち 9位以下
男子 20 5 4 11
女子 18 1 5 12
※Minimum Qualification Standards (MQS)、Medal Target Athletes (MTA), Medal Potential Athletes (MPA)

内訳は次の表6を参照されたい。

表 6 東京パラリンピックMQS突破選手(男子、女子)と種目別ランキング 2020.8.17現在
男子

女子

参考資料

公式リザルトブック (アクセス日2020/8/18)
2012 ロンドンパラリンピック: https://www.paralympic.org/sites/default/files/document/121019124827654_SWIMMING%2BRESULTS%2BBOOK%2BV2.pdf
2013 モントリオール世界選手権: https://www.paralympic.org/sites/default/files/document/130910102128817_ResultsBook_SW_v3.pdf
2015 グラスゴー世界選手権: https://www.paralympic.org/sites/default/files/document/160201092517857_2015_07_29_Results%2BBook.pdf
2016 リオデジャネイロパラリンピック: https://www.paralympic.org/sites/default/files/document/161014123655001_Rio_2016_PG_Swimming_Results_Book_compressed.pdf
2019 ロンドン世界選手権: http://www.fedpc.org/upload/eventos_resultados/Results%20book%20-%20London%202019_v2.pdf

著者 : 宮原 純子