パラッシーパラッシー
視覚障がい者に使用する合図棒(タッピングデバイス)は、いつから使われているの? 誰が考えた?

 現在日本で使われている合図棒は、1本3万円をするものから手作りで安価なものまで様々です。日本代表に使われている合図棒は、2mまでで、川釣りの竿を基本に、ビート版やプルブイの素材をつかい、3段や4段に短く収納できるものを使っています。
 海外のチームを見ると実に様々です。物干し竿にテニスボールを付けたものから、ペットボトルを加工したものなどもあります。
 合図をするのは、基本的には頭ですが、かなり強く合図しないと水に邪魔をされて分かりにくいことがあります。バタフライなどでは、背中に合図する場合もあります。

 選手の泳ぐ種目によって、タップする距離が違いますので、合図棒も長さを調整して使用しています。バタフライや平泳ぎは頭が上がってくる間隔が長いので長くして使います。
 クロールは、クイックターンを行うタイミングに合わせるため短くして使います。
 背泳ぎは、手が大きく上に上がってくるので、タイミングが難しいため、少し長めで左右にあげる手のタイミングに合わせて合図します。
 ターンやゴールでは、この合図で0.1秒2秒を争うことも起こりますので、選手とコーチの息の合ったタイミングが必要です。このため、選手とコーチが練習を重ねて試合に臨みます。

 日本が、パラリンピックでこの合図棒を使ったのは、1992年のバルセロナ大会からと考えられます。 というのも、ソウルパラリンピックの監督報告書に「ルール上特筆する点」として「視覚障害者のターンとゴールでコーチが、1.5mくらいの棒の先に丸いスポンジのついたもので選手の頭を押さえて知らせていた」とあり、この大会で日本は学び、その後、手作りの合図棒を制作、様々な大会で使用し出したと考えられます。
 それまでは、選手自身が手の回数などを数えて距離を図り、壁にぶつからないように手探りのターンやゴールをしていました。

最新の合図棒、伸ばせば1.8m、トランクに入れて海外大会へ持参出来る
国によって異なる 様々な合図棒 (2019年世界選手権)