世界パラ水泳選手権大会は、国際パラリンピック委員会(International Paralympic Committee:「IPC」)主催として第1回が1994年マルタで開催された、それ以降2023年に至るまで11回開催されている。
5回までは、4年に一回であったが、2012年のロンドンパラリンピック以降パラリンピックの翌年と前年に開催されるようになった。
世界パラ水泳選手権大会でインターネットを検索するとフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には1990年7月にオランダ・アッセンで第1回大会が行われたと記載があるがIPC及び世界パラ水泳連盟(World Para Swimming :「WPS」)ホームページからは確認できなかった。
WPSのホームページや日本の選手団がマルタの大会に行った際のポスターなどにもマルタでの大会が第1回と記載されており、ここでは、マルタでの大会を1回として、推移表を記載している。
2013年カナダのモントリオール大会以降は、WPSホームページ、イベントのサーチでワールドチャンピオンシップを検索すると、それぞれの大会へアクセスでき、リザルトなども入手可能であるが、2010年以前は掲載されていない。
https://www.paralympic.org/swimming/events
日本は、毎回参加しており、その報告資料から世界パラ水泳選手権大会の様子をうかがい知るしかない。
第2回大会の報告書では、肢体不自由選手と知的障がい選手が参加、視覚障がい選手はスペインで別に大会が行われたとある。
また、知的障がい選手との合同チームは初めてとあるが、第1回でも知的障がい選手が1名参加している。知的障がい選手については、2002年第3回はオープン参加となっている。2006年第4回大会には、参加出来ていない。これは、2000年のシドニーパラリンピックでスペインの知的障がいバスケットボール選手に健常者が、知的障がいと偽って出場していた事件の影響であろう。(パラリンピックにおいても知的障がい選手は、この事件以降アテネ・北京と出場が認められず、ロンドンからとなった)第5回2010年の世界パラ水泳選手権大会からは、知的障がい選手も出場している。
2017年第8回大会はメキシコシティで9月30日から10月6日で開催される予定であったが、2017年9月19日午後1時14分(日本時間20日午前3時14分)発生したメキシコ中部地震によって、メキシコシティに大きな被害が出たため、延期され11月27日から12月7日の日程でMexico City 2017 Para Sport Festival として実施された。日本チームは、身体障がい選手12名、知的障がい選手12名計24名、役員・関係者25名が9月18日に既に現地入りしていてこの地震に遭遇した。
日本チームのホテルは、倒壊を免れ全員無事であったが、帰国の飛行機などの手配に手間取り、9月22日から9月27日にかけて分散帰国となった。延期された大会には、高地トレーニングなどの準備が整わないことや余震リスクなどもあることから参加しないことと決定した。
イギリスやオーストラリア、ウクライナ、ニュージーランドなども参加しなかった。ロシアはドーピング問題で参加できていない。
2019年の世界パラ水泳選手権大会は当初、マレーシアのKuchingで7月29日から8月4日に開催される予定であったが、マレーシア政府がイスラエルの選手にビザの発給を保証しないという政治的な理由により、IPCは開催権利をはく奪、9月9日から15日に2012年パラリンピックが行われたロンドンでの開催となった。
2021年の世界パラ水泳選手権は、東京パラリンピックがCOVID-19のため1年延期となったため世界選手権の1年延期となり、2022年にポルトガルのマデイラで開催された。
2023年世界パラ水泳選手権は、予定通り2023年にイギリスのマンチェスターで開催された。
2年続けての世界選手権では、日本選手団は中国の選手と競い合うクラスの選手が多く、マデイラの世界選手権は、中国が出場していなかったこともあって、過去最高の20個のメダルを獲得した。しかし、翌年2023年のマンチェスター世界選手権では、中国の参加により10個のメダルに終わっている。
以下2010年までの大会概要(英文)
2010 – Eindhoven, the Netherlands
Between 15 and 21 August, 649 athletes from 53 countries took part in the biggest IPC Swimming World Championships to date. During six days of competition, the Pieter van den Hoogenband stadium hosted 181 medal events.
Ukraine topped the medals table with 58 medals, including 20 golds, whilst USA and Russia finished second and third respectively.
2006 – Durban, South Africa
After winning 52 medals including 24 golds, Great Britain topped the medals table with USA in second and Ukraine third. A total of 549 athletes from 49 countries took part in the final major event before the Beijing 2008 Paralympics.
The USA’s Jessica Long and China’s Wang Xiaofu (China) were the leading athletes of the each smashing five world records.
2002 – Mar del Plata, Argentina
More than 50 world records were broken and many personal bests set at the 2002 IPC Swimming World Championships. A total of 574 participants from 53 nations took part in the competition from 6 to 17 December. One highlight was the first IPC Open Water World Championships, which were carried out in the Atlantic Ocean. The final medal tally was topped by Great Britain with 32 gold, 23 silver and 21 bronze. Canada was second and China third.
1998 – Christchurch, New Zealand
From 7 to 17 October, more than 450 athletes from 51 countries took part in the 1998 IPC Swimming World Championships. Canada topped the medals table with 25 golds, though Great Britain claimed the most medals overall with 58. Australia finished third in the medals tally with 13 golds and 47 total medals.
1994 – Valletta, Malta
Nearly 500 athletes from 44 countries took part in the 1994 IPC Swimming World Championships.